型番商品とは、どの店舗でも同じ商品名・型番で販売されている商品を指します。たとえば家電や PC 周辺機器などが代表的です。このような商品は、ユーザーが簡単に価格比較できるため、どうしても「安さ」での勝負になりがちです。
しかし、実際にお客様が商品を購入する決め手は「価格」だけではありません。サポート体制や信頼感、アフターサービスといった“安心感”や“利便性”が購買行動に大きく影響します。
だからこそ、単なる値下げ競争に陥るのではなく、店舗独自の“付加価値”をどう見せるかが重要です。
本記事では、型番商品でも売上と利益を最大化する「価格競争力」と「付加価値」の最適なバランスを見つけるヒントをお伝えします。
目次
1.店舗の「付加価値」は価格以上の武器になる
実際に「価格以外」で型番商品で他店との差別化を図るためには、どのようなポイントがあるのでしょうか?
一括りに型番商品といっても、その特性や販売戦略は様々です。ここでは、お客様に選ばれる店舗・商品になるための具体的な付加価値戦略をご紹介いたします。
販売戦略
- 独自のセット販売:人気のアクセサリーやメンテナンス用品をセット化することで“お得感”を演出できます。また、JANコード単位の価格比較で競合と並ばないメリットもあります。
- 配送スピード:「最短当日発送」など、配送の早さも購入の決め手の一つになります。
- ノベルティ付与:小物や限定特典を付けることで口コミ拡散やリピート促進にも繋がります。
サービス付加価値
- 延長保証の提供:標準保証に加え、+1 年や+2 年の延長をつけることで“安心感”をアピールできます。
- 設置・初期設定サービス:家電や大型商品では、設置や初期設定をサポートすることで購入ハードルを下げられます。
- 迅速なサポート対応:問い合わせにすぐ対応できる体制を整えると、信頼度が格段に高まります。
さらに、商品ページのサムネイル画像や商品名の工夫も欠かせません。
同じ価格帯でも「延長保証付き」「設置対応」「即日発送」などの要素を明記することで、ユーザーに店舗の強みを印象づけることができます。
2.競合を意識した価格戦略とセール時の工夫
2.1. 市場動向に基づいた柔軟な価格設定
いかに製品やサービスに独自の付加価値があったとしても、競合他社との価格差が著しく大きい場合、顧客の購入障壁となる可能性が高まります。そのため、常に市場価格の動向を注視し、定期的なベンチマーク分析を実施することで、適正な価格水準を検討することも重要です。
-
定期的な市場価格調査: 主要競合他社の価格設定、プロモーション状況、新製品投入などを継続的にモニタリングし、自店舗の価格が市場相場から大きく乖離しないよう調整する。
-
価格弾力性の分析: 過去の販売データから、価格変更が需要に与える影響(価格弾力性)を分析し、最適な価格帯を探索する。
- 競合の価格戦略の把握: 競合他社が価格改定を行うタイミングや、セール期間中の価格変動パターンを把握することで、自社の価格戦略をより戦略的に立案し、優位性を確保します。例えば、競合が特定の時期に値下げを行う傾向がある場合、その時期を避けて独自のプロモーションを展開する、あるいは差別化された価値訴求を行うといった施策が考えられます。
2.2. 競合に察知されにくい戦略的セール施策
セールは販売促進に有効な手段ですが、価格比較サイトなどに掲載されることで、競合に価格情報を容易に把握されてしまうリスクも伴います。そこで、競合他社に気づかれにくく、かつ効果的に顧客の購買意欲を高めるための戦略的なセール施策の実施もポイントとなります。
- 時間制・数量限定クーポン:「数時間限定」や「数量限定」といった時間的・数量的な制約を設けたクーポンを用意する。
- 対象者限定クーポン:特定の顧客セグメント(例:新規顧客、リピーター、特定商品の購入者など)にのみ配布するクーポンは、 顧客ロイヤルティの向上や、特定のターゲット層へのアプローチに有効です。これにより、競合他社が模倣しにくい独自のプロモーションを実施することができます。
これらの施策を組み合わせることで、競争力を維持しながら販売促進を行うことができます。
3.実例紹介:価格差を超えて成果を出した公式ストアの取り組み
家電ジャンルで年商3億円規模のとある公式ストアでは、当初卸先との価格差が発生。プロパー価格で売らなくてはならない公式ストアは、売上が厳しい状況に陥っていました。
しかし「価格で戦う」方向を見直し、“公式ストアとしての付加価値”を前面に打ち出す戦略へ転換。
具体的には、新商品の販売時にブランドロゴ入りステッカーをノベルティとして同梱する取り組みを実施しました。
この工夫により、「公式でしか手に入らない限定感」を演出。
結果、競合より 10%ほど高い価格設定にもかかわらず、最も販売数を伸ばしたという成果を上げました。
営業チーム 2名を中心に、各部署(デザイン・カスタマーサポート・物流)が横断的にサポートしたことで、スピーディに実行・改善を重ねられた点も成功要因の一つです。
この事例は、“値下げで売る”から“価値で選ばれる”へと発想を転換した好例といえます。
型番商品での勝負は、短期的な値下げ競争ではなく「長期的な信頼構築」にあります。 購入後のフォロー、丁寧な梱包、レビュー返信の誠実さなど、地道な取り組みが顧客満足度を高め、リピーターを生みます。 「この店で買えば安心」と思われることが、結果的に価格競争を超えた最大の差別化要因になります。
4.まとめ:価格と付加価値の“最適バランス”を探る
型番商品で勝つためには、「価格」だけでなく「付加価値」と「信頼感」の 3つをどう組み合わせるかがポイントです。
単純な値下げ競争では利益が削られる一方ですが、保証・設置・サポート・配送スピードなどの付加価値を上手に活用すれば、同価格帯でも“選ばれる店舗”になることができます。
競合を意識しつつも、自店舗らしさを打ち出した“価格と価値のバランス戦略”を、ぜひ実践してみてください。
※本コラムは、RMSサービススクエア参加企業様にご提供いただいた記事です。内容は各社、独自の知見に基づくものであり、楽天グループ株式会社としての公式見解を示すものではありません。
記事内容に関するご質問やお問い合わせは、直接企業様へお願いいたします。また、具体的な施策の実施にあたっては、担当ECコンサルタントまたは店舗運営Naviにて最新の情報をご確認ください。
記事で紹介したサービスをチェック
楽天ECサイト運営支援・運用支援サービス
販売戦略立案+制作&実務作業サービス
「売上・利益」を作る事に重きを置いた販売戦略立案+制作&実務作業をトータルで支援。
外部にプロのEC店長・担当者を雇用するイメージで、EC運営支援サービスを提供します。
![[よくある質問] キャンペーン期間のみバナーを自動で表示したい](https://service.rms.rakuten.co.jp/docs/column/img/default.jpg)

