ネットショップ運営事業者の皆様、日々の業務お疲れ様です。
商品の仕入れ・出品・発送業務、ページの作成など、日々多岐にわたる業務に追われているかと思いますが、領収書や請求書の発行・管理といった事務作業も避けて通れません。
特に複数店舗を運営している場合、店舗ごとに異なる管理画面での対応が必要となり、業務が煩雑化します。また、お客様からは領収書の宛名変更や再発行に加え、「店舗の領収書を出してほしい(店舗のロゴ・社印の入った)」といった個別の要望を受けることもあります。
さらに、近年施行されたインボイス制度や電子帳簿保存法といった法改正が、書類管理の負担をさらに増やしています。
本コラムでは、こうしたネットショップ運営者が直面する書類管理の具体的な課題を取り上げつつ、電子帳簿保存法とインボイス制度への対応ポイント、そして課題解決と法令遵守を両立させるためのシステム活用について解説します。
目次
1.法令対応の必須知識:電子帳簿保存法とインボイス制度
まずは、書類管理において避けて通れない2つの法律、「電子帳簿保存法」と「インボイス制度」の基本を確認しましょう。
電子帳簿保存法: 電子データによる書類保存のルール
電子帳簿保存法は、国税関係帳簿や書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。この法律には「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分があります。
中でも、電子取引のデータ保存は、メールやクラウドサービスなどで電子的に授受した請求書や領収書などのデータを、データのまま保存することを義務付けるものです。この義務は、2024年1月1日からほぼすべての事業者に完全義務化されています。紙に印刷して保存するだけでは認められなくなりました。
インボイス制度: 消費税の仕入れ税額控除に関する新制度

インボイス制度(正式名称:適格請求書等保存方式)は、2023年10月に始まった消費税の仕入税額控除に関わる制度です。適格請求書(インボイス)を発行する事業者(適格請求書発行事業者)は、発行したインボイスの控えを保存する義務があります。
インボイス制度に対応した書類(適格請求書等)も、電子取引で受け取った場合は、電子帳簿保存法の要件に従って電子データで保存する必要があります。
これらの書類には保存期間が定められており、法人の場合は原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間、会計帳簿は会社法上10年間とされています。 個人事業主や副業の場合も、種類や所得額に応じて7年または5年の保存義務があります。 適格請求書等については、交付または提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存が必要です。 書類によっては10年間の保存が必要になるケースもあるため、長期保管への対応が重要です。
2. 電子取引データ保存の要件と猶予措置

電子取引データを保存する際は、「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たす必要があります。
真実性の確保:データが改ざんされていないことを示すための要件で、タイムスタンプの付与や、訂正・削除の記録が残るシステム、あるいは事務処理規程の整備などで対応します。
可視性の確保:保存したデータを閲覧・検索できるようにするための要件で、検索機能の確保などが含まれます。特に検索機能については、取引年月日、取引金額、取引先の3項目での検索などが求められます。
ただし、2024年1月以降も、相当な理由が認められる場合には、要件を満たしたデータ保存ができない事業者向けの新たな猶予措置があります。例えば、「システム整備が間に合わない」「資金繰りが難しい」「人手不足」といった理由が相当の理由として挙げられています。この猶予措置を受けるためには、税務職員からのダウンロードの求めや、データを印刷した書面の提示・提出の求められた場合に、対応できるようにしておく必要があります。また、前々年の売上高が5000万円以下の事業者や、印刷して整理した書面を提示・提出できる事業者も、検索要件の一部または全部が不要になります。
これらの猶予措置はありますが、データ自体の保存義務は変わらず、あくまで「要件を満たした保存が難しい場合の措置」です。将来的な廃止の可能性もあり、早めの対応が推奨されます。
3. 複数店舗運営と書類管理の具体的な課題
ネットショップ運営事業者が、上記の法改正と日々の業務の中で特に課題に感じやすい点を具体的に見てみましょう。
・複数モールでの管理の煩雑さ: 楽天市場とYahoo!ショッピングなど、複数のECモールに出店している場合、それぞれのモールで発生する注文や領収書・請求書発行のデータが分散し、一元管理が難しいという課題があります。モールごとに異なる管理画面での操作が必要となり、非効率です。
・お客様からの多様な要望への対応: 領収書への「会社のロゴを入れたい」といったお客様からの要望に対応するためには、モール標準機能だけでは不十分な場合があります。店舗独自の領収書デザインに対応できる仕組みが必要となります。
・紙と電子データの混在と長期保管: 電子取引データは電子保存が義務ですが、紙で受け取ったレシートや請求書は紙のままでも、スキャナ保存でデータ化しても構いません。紙と電子データが混在すると管理が複雑になり、長期保存(7年や10年)の際に検索や確認に手間がかかる可能性があります。また、電子保存の場合も、法的な保存期間(7年〜10年)を意識した管理が必要です。
4. 課題解決と法令遵守を両立するシステム活用



これらの課題を解決し、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応するためには、専用システムの活用が有効です。
例えば「まとめて領収書+納品書」のようなサービスは、ネットショップ運営者のニーズに特化した機能を提供しています。
・複数店舗管理:1つのアカウントで複数の楽天市場・Yahoo!ショッピングの店舗を一元管理できます。
・柔軟な帳票発行:会社のロゴや印影を入れた、自店独自の領収書や納品書を発行できます。お客様はURLから簡単にダウンロードできるため、個別の発行依頼への対応工数を削減できます。
・法令対応:電子帳簿保存法に基づいた検索機能を管理画面で利用できるため、法令遵守にも対応できます。 まとめて領収書+納品書を利用すれば、電子帳簿保存法において一定の条件を満たす「優良な電子帳簿」となり、様々な優遇措置が認められます。
・控えの管理:発行した控えはサービス内でデータとして自動管理されるため、長期保管(10年保管など)のニーズにも対応可能です。
まとめ:法令対応と業務効率化で事業成長を
2024年1月からの電子取引データ保存の完全義務化は、ほぼすべての事業者にとって対応が必須です。複数店舗運営による書類管理の煩雑さ、お客様からの多様な要望、そして長期保管義務といった課題に対し、法令遵守と業務効率化を両立するためには、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応したシステムを活用をすることが有効な手段となります。 「まとめて領収書+納品書」のようなサービスを活用することで、日々の書類発行・管理業務の負担を軽減しつつ、法的な要件を満たした形で安心して控えを保管することができます。 早めに自社に合ったシステムを導入し、法令対応と業務効率化を進めることで、ネットショップ事業のさらなる成長につなげましょう。
※本コラムは、RMSサービススクエア参加企業様にご提供いただいた記事です。内容は各社、独自の知見に基づくものであり、楽天グループ株式会社としての公式見解を示すものではありません。
記事内容に関するご質問やお問い合わせは、直接企業様へお願いいたします。また、具体的な施策の実施にあたっては、担当ECコンサルタントまたは店舗運営Naviにて最新の情報をご確認ください。
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